久田和広の環境問題|エコファシズム

エコファシズム

エコファシズム(英:Ecofascism)とは、環境保護や動物愛護などを名目として、全体主義的な政策を推進しようとするイデオロギーの一種である。例として、日本の生類憐れみの令や、ナチス・ドイツにより追行された安楽死思想などが挙げられる。

江戸時代、徳川綱吉の治世の日本では、生類憐れみの令により、犬を殺すことは否定していながら、犬を殺したことを理由として人を死刑にすることが行われていた。1695~1696年に東北地方を襲った元禄の大飢饉の際、米価が高騰した状況においても徳川幕府は8万の野犬を中野犬小屋に収容して犬一匹に対し一日あたり白米3合、味噌50匁、イワシ一合を与えていた。そのため、江戸の町民は犬の高待遇に怒りが高まっていた。ただし、当時大名屋敷で放し飼いにされた犬が野犬化して、出没しており、収容しなければ江戸の治安自体を維持できないという意見もある。その他従来言われるような悪法ではなかったとする主張もある(詳しくは生類憐れみの令#見直し論を参照)。

ナチス政権下のドイツでは、1933年に動物保護法、1934年に国家狩猟法、1935年に国家自然保護法が制定され、動物の虐待の禁止、麻酔なしの生体解剖の禁止、野生生物の保護のため雑木林の保護などが行われた。その一方で、豚などの動物を忌み嫌い、捕虜やユダヤ人に対しては動物以下の扱いが行われた。これは人間と動物の境界を曖昧にすることによって、人間に対する殺人のハードルを動物のレベルにまで下げることになったためとの解釈が行われている。

生態系の保護のためには人間の排除も辞さない生態系中心主義を唱えたキャリコットや、大幅な人口減の必要性を唱えるネオ・マルサス主義の影響を受けたハーディンなどによってエコファシズム思想の一端が示された。